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Japanese Living Bible Old Testament 2 Kings
王国衰亡記 下(列王記Ⅱ)
本書は、二つの国家的悲劇を含む、およそ二百五十年間にわたる出来事を記しています。
紀元前七二二年に、北王国イスラエルはアッシリヤに滅ぼされ、五八七年に南王国ユダが
バビロンに滅ぼされました。本書は、諸王の統治を、霊的意義に注目しながら記述してい
ます。善王と悪王、戦争と平和、繁栄と衰退のいずれの時代でも、神様は変わらずに生き
て働き、預言者を遣わし、ご自分の考えを伝え、さばきが来ることを警告しておられます。
1 アハブ王が死ぬと、モアブの国が独立を宣言し、イスラエルに貢を納めないと言いだ
しました。
2 さて、イスラエルの新しい王アハズヤは、サマリヤにある宮殿の二階のベランダから
落ちて、重傷を負いました。 そこで、使者をエクロンにあるバアル・ゼブブの神殿に送
り、傷が治るかどうか、伺いを立てさせようとしました。
3 ところが、神様の使いが預言者エリヤに、こう告げたのです。「さあ、王の使者に会い、
次のように言いなさい。 『イスラエルには神がいないとでもいうのか。 わざわざエク
ロンの神バアル・ゼブブに、王が治るかどうか伺いを立てるとは……。 45こんなまね
をしたので、王は床に釘づけになったまま、やがて死ぬ。』」
エリヤのことばを聞いた使者は、すぐ王のもとへ引き返しました。
「なぜ、こんなに早く帰って来た?」と尋ねる王に、使者は答えました。
6 「ある人が来て、すぐ陛下のもとへ帰り、こう語るようにと告げたのでございます。
『神様は、なぜ王がエクロンの神バアル・ゼブブに伺いを立てるのか、そのわけを知ろう
としておられる。 イスラエルに神がおられないとでもいうのか。 こんなことをしたか
らには、王は床から離れることはできないし、そのうちきっと死ぬ。』」
7 「だれがそんなことを。 で、どんななりをしておった、そいつは。」
8 「毛衣を着て、太い皮帯を締めていました。」
「うーん、それでまちがいない。 あの預言者エリヤめだっ!」
9 そこで王は、五十人の兵士に隊長をつけて、エリヤ逮捕に向かわせました。 彼らは
丘の上に座っているエリヤを見つけ、声をかけました。 「預言者よ、王の命令だ。 い
っしょに来てもらおう。」
10 「もし私が預言者なら、天から火が下って、おまえたちを皆殺しにするはずだ」と、
エリヤが言ったとたん、いなずまが彼らを直撃し、一人残らず焼き殺してしまいました。
11 王はまた、別の五十人の兵士に隊長をつけ、「預言者よ、すぐ来るようにとの、王の
命令だ」と言わせました。
12「もし私が預言者なら、天から火が下って、おまえたちを皆殺しにするはずだ。」 今
度も、神様の火が彼らを焼き殺してしまいました。
13 それでも、王はあきらめません。 もう一度、五十人の隊を送り出しました。 と
ころが今度の隊長は、エリヤの前にひざまずいて懇願したのです。 「預言者様、どうか、
私どものいのちをお助けください。 14どうか、お情けを。 前の者たちのように殺さ
ないでください。」
15 その時、御使いがエリヤに、「こわがらずに、いっしょに行け」と命じたので、エリ
ヤは王に会いに行きました。
16 エリヤは、王の前でも少しも臆しません。 「なぜ陛下は、ご病気のことで、エク
ロンの神バアル・ゼブブに伺いを立てようと、使者を送ったのですか。 イスラエルに神
がおられないとでもいうのですか。 そんなことをなさったので、陛下は床に釘づけにな
ったまま、そのうちきっと死にます。」
17 神様がエリヤによって予告なさったとおり、アハズヤは死に、弟ヨラムが王位につ
きました。 アハズヤには世継ぎがなかったからです。 それは、ヨシャパテの子でユダ
の王ヨラムの即位後二年目のことでした。 18アハズヤのその他の業績は、『イスラエル
諸王の年代記』に記録されています。
12さて、神様がエリヤをたつまきで天に上げる時がきました。 エリヤはギルガルを出
立する時、エリシャに、「ここに残ってくれ。神様がわしに、ベテルへ行けと仰せじゃ」と
言いました。
ところがエリシャは、「神様にかけて言っておきますが、決して先生から離れません」と答
えたのです。
そこで二人は、そろってベテルへ向かいました。 3すると、ベテルの預言者学校の若い
預言者たちが迎えに出て、エリシャに言いました。 「きょう、神様がエリヤ先生をあな
たから取り上げようとしておられるのを、ご存じですか。」
「黙りなさい! もちろん知っているとも。」 エリシャはきびしい口調で言いました。
4 すると、エリヤはエリシャに、「このベテルに残れ。 神様がわしを、エリコへやられ
るのじゃ」と言いました。
しかし、またもエリシャは、「神様にかけて言っておきますが、決して先生から離れません」
と答えたのです。 そこで二人は、そろってエリコへ出かけました。
5 エリコでも、預言者学校の生徒たちがエリシャに、「きょう、神様がエリヤ先生をあな
たから取り上げようとしておられるのを、ご存じですか」と言いました。
エリシャはきっぱり答えました。 「知っているとも。 だが、そのことは黙っていてく
れないか。」
67エリヤはまたもエリシャに、「ここに残れ。 神様がわしを、ヨルダン川へやられる」
と言いました。
この時も、エリシャは前と同じように、「神様にかけて言っておきますが、決して先生から
離れません」と答えたのです。
二人はそろって出かけ、ヨルダン川のほとりに立ちました。 若い預言者五十人は、遠く
から見守っていました。 8エリヤが外套を丸めて、ヨルダン川の水を打つと、川の水が
分かれたので、二人はかわいた土の上を渡って行きました。
9 向こう岸に着くと、エリヤはエリシャに言いました。 「わしが天に行く前に、どん
なことをしてやろうかの。」
「どうぞ、先生の二倍の預言の力を、お授けください。」
10「難しいことを注文するものだ。 わしが取り去られる様子を見ることができたら、
願いはかなえられるぞ。 じゃが、見られなければだめじゃな。」
11 二人が話しながら歩いていると、突然、火の馬に引かれた火の戦車が、二人の間に
割り込みました。 こうして、エリヤはたつまきに乗って天にのぼって行ったのです。
12 エリシャはその姿をじっと見つめ、「わが父! わが父! イスラエルの戦車と騎
兵よ!」と絶叫しました。
エリヤの姿が見えなくなると、エリシャは着物を引き裂きました。 1314それから、
エリヤの外套を拾い上げ、ヨルダン川のほとりに引き返し、その外套でヨルダン川の水を
打ったのです。
「エリヤの神様は、どこにおられますか」と、大声をあげると、水が両側に分かれたので、
歩いて川を渡りました。
15 エリコの若い預言者たちはこれを見て、口々に「エリヤの霊がエリシャに臨んだ!」
と叫び、エリシャを迎えに出て、ていねいにおじぎしました。
16 「お許しをいただければ、五十人の屈強な連中にエリヤ先生を捜しに行かせます。
おそらく、神の御霊が先生を運んで、どこかの山か谷に置き去りにされたのでしょうから。」
「どうか、そんなことはしないでくれ。」
17 ところが、彼らがあまりにもしつこく言うので、ついにエリシャも根負けして、「ま、
いいだろう。 そうしなさい」と折れました。 そこで、五十人の男が三日間、手分けし
て捜しましたが、エリヤの姿はどこにも見あたりません。
18 すごすご引き返して来ると、エリシャはまだエリコにいて、「だから、あれほど、行
くなと言っただろう」としかりつけました。
19 エリコの町の代表者たちが、エリシャを尋ねて来ました。 「実は、困ったことが
あるのです。 この町は、ご覧のとおり、美しい自然に囲まれています。 ところが水が
悪くて、女たちは流産に悩まされています。」
20 「それはお困りですな。 何とかしましょう。 新しい器に塩をいっぱい入れて、
持って来なさい。」 そこで彼らは言われたとおりにしました。
21 エリシャは町の井戸へ出かけ、塩を振りまいて、「神様がこの水をきよめてくださっ
た。 これからはもう、流産する人もないし、水にあたって死ぬ人もいません」と太鼓判
を押しました。
22 はたして、そのとおり水質は良くなったのです。
23 エリシャがベテルへの道を進んで行くと、ベテルの町から小さい子供たちが出て来
て、「やーい、はげ頭、はげ頭」とはやし立てました。 24エリシャは子供たちの方を振
り向いて、神様の御名によってのろいました。 すると、森の中から二頭の雌熊が出て来
て、四十二人もの子供を裂き殺してしまったのです。 25このあと、エリシャはカルメ
ル山へ行き、またサマリヤへ帰って来ました。
1 ユダのヨシャパテ王の即位後十八年目に、アハブの子ヨラムがイスラエルの王となり、
首都のサマリヤで十二年のあいだ治めました。 2彼はしたたか者でしたが、両親ほどで
はありませんでした。 その証拠に、父の作った、バアルにささげる石柱だけは取り除い
たのです。 3しかし一方では、イスラエル国民を偶像礼拝に誘った、ネバテの子ヤロブ
アムの罪を犯し続けました。
4 モアブ人はメシャ王をはじめとして、羊を飼っており、毎年イスラエルに、子羊十万
頭と、雄羊十万頭分の羊毛とを貢として納めていました。 5ところが、アハブ王が死ぬ
と、モアブの王はイスラエルに背いたのです。 6‐8そこで、ヨラム王はイスラエル軍
を召集する一方、ユダのヨシャパテ王に使いをやりました。
「モアブの王が反旗を翻しました。 戦いにお力添え願えないでしょうか。」
「喜んで力になりましょう。 国民も馬も、あなたの言いなりにさせます。 作戦計画を
教えてください。」
「エドムの荒野の道から攻めることにしています。」
9 こうして、エドムからの援軍も加わった、イスラエルとユダの連合軍は、荒野の道を
遠回りして七日間すすみました。 ところが、兵士や荷物を運ぶ家畜の飲み水が底をつい
たのです。
10 イスラエルの王は悲鳴をあげました。 「ああ、どうしよう。 神様はわれわれを、
モアブの王の餌食にしようと、ここに連れ出されたのだ。」
11 「預言者はいないのですか。 もしいたら、どうすればいいかわかるのに。」
ユダのヨシャパテ王のことばに、イスラエルの王の家来が答えました。 「エリヤの助手
をしていたエリシャがいます。」
12 ヨシャパテは、「それはいい。 その人に聞いてみよう」と言いました。 そこで、
イスラエルとユダとエドムの王は、そろってエリシャを尋ねたのです。
13 ところが、エリシャはイスラエルのヨラム王にかみつきました。 「かかわりにな
りたくありませんな。 ご両親がひいきにしていた、偽預言者のところへでも行ったらい
いでしょう。」
「いやだ! われわれをここに呼び出し、モアブの王の餌食になるように仕向けたのは、
神様だぞ。」
14 「神様にかけて言っておきます。 ユダのヨシャパテ王がいなかったら、こんなこ
とに首をつっ込む気は、さらさらなかったんですがね。 15ま、しかたがない、竪琴を
ひく者を連れて来てください。」
竪琴がひき鳴らされると、エリシャに神様のお告げがありました。
16 「このかわいた谷に溝を掘れ。 わたしがそこに水を満たす。17風も吹かず、雨
も降らないのに、谷は水であふれ、おまえたちも家畜も、十分に飲むことができる。 1
8だが、これはまだ序の口だ。わたしはモアブ軍を破り、おまえたちに勝利を与える。 1
9おまえたちは城壁で囲まれた最上の町々を占領し、良い畑をみな、石ころで台なしにす
る。」
20 翌日、朝のいけにえがささげられるころ、水がエドムの方から流れて来て、あたり
一面を水浸しにしました。
21 そのころ、モアブ人は、連合軍が攻めて来ると聞き、老いも若きも、戦うことので
きる男子を総動員して、国境の守備を固めました。 22ところが、翌朝はやく起きてみ
ると、太陽が水面を真っ赤に照らしているではありませんか。
23 彼らは思わず、「血だ! 連合軍が、同士討ちをしたに違いない。 さあ、出て行っ
て戦利品を集めよう」と叫びました。
24 こうして、彼らがイスラエル陣に攻め込むと、イスラエル軍が飛び出して来て、モ
アブ人を片っぱしから殺し始めたのです。 たちまちモアブ軍は総くずれです。 ここぞ
とばかり、イスラエル軍はモアブの地に攻め込み、手あたりしだいに破壊してしまいまし
た。 25町を廃墟とし、すべての良い畑に石を投げ、井戸をふさぎ、実のなる木を切り
倒しました。 キル・ハレセテの要害が最後まで残っていましたが、そこもついに、イス
ラエル軍の手に落ちたのです。
26 モアブの王は勝ち目がないとわかると、七百人の抜刀隊を率い、エドムの王のとこ
ろへ突入しようとしましたが、それも失敗に終わりました。 27そこで、世継ぎの長男
を城壁の上で殺し、完全に焼き尽くすいけにえとしてささげたのです。 これを見たイス
ラエル人は、ぞっとして気分が悪くなり、国へ引き揚げて行きました。
1 ある日、預言者学校の生徒の妻がエリシャを訪ね、夫の死を告げました。 「主人は
神様を愛していました。 ところが、亡くなる時、少しばかり借金があったのです。 今、
貸し主が返済を求め、もし返せなければ、二人の子供を奴隷にすると言うのです。」
2 「はて、どうしてあげたらいいのかな。 家には、どんな物があるかね。」
「油のつぼが一つあるだけで、ほかには何も。」
3 「では、隣近所から、空のかめや鉢をたくさん借りて来なさい。 4鍵をしっかりか
け、子供たちと家に閉じこもり、つぼのオリーブ油を、かめや鉢にどんどんつぎなさい。」
5 女は言われたとおり、子供たちが借りて来たかめや鉢を油でいっぱいにしました。 6
まもなく、どの入れ物も口まであふれるほど、いっぱいになりました。
「もっと、もっと、かめを持っておいで」と言うと、
「もうないよ」という返事です。 そのとたんに元のつぼから油が流れ出なくなりました。
7 女からいきさつを聞くと、預言者は言いました。 「さあ、その油を売って、借金を
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